バニラエアひがし北海道フリーパスの旅 (2)小樽〜網走
今は亡き航空会社,バニラエア.
そんなバニラエアとJR北海道とのタイアップで発売されていた「バニラエアひがし北海道フリーパス」で旅をしてきた,というお話です.
前回の続きです.
8月21日(水)
今は日本有数の観光都市として有名な小樽.
その昔は湾港都市として栄え,一時期は北海道の経済の中心でもありました.
時刻は朝5時過ぎ,街はまだ寝静まってます.
宿泊(仮眠?)先の銭湯から歩いて南小樽駅へやってきました.5時42分発の札幌方面の始発電車を待ちます.
やって来たのは721系.普通列車なのにデッキ付き転換クロスシートという,本州住みの自分にとってびっくりな設備です.
列車は銭函付近を通過中.石狩湾を望みます.
40分ほどで札幌駅に到着.
6:53~6:57の怒涛の三連続発車.札幌が北海道の中心であることを意識させられます.
今回の旅の目的の一つ,6:56発の網走行き特急オホーツク1号に乗ります.
その昔は北海道のディーゼル特急の雄でしたが,近年では活躍の場を狭め,ついに定期列車は特急オホーツクおよび特急大雪のみとなりました.
オホーツクのキハ183による運行も,あとどれほど続くことでしょうか.
見ての通り,外装はボロボロです.
北海道の厳しい環境が想像されます.
4号車の自由席に乗ります.
札幌発車時点で,この車は通路側を含め,ほとんどの席が埋まっています.
オホーツク,意外と人気あるんじゃないか…なんと思いましたが,岩見沢で車内の3分の1ほどの乗客が下車.どおりで制服姿の高校生が乗っているわけでした.
列車は間もなく美唄というところ.
旭川を出ると車内も閑散としてきました.平日の函館本線の特急需要の高さを身に感じました.
列車は単線の石北本線をひた走ります.
札幌から3時間半で遠軽に到着です.
かつては石北本線と名寄本線との分岐点でありましたが,30年前に名寄本線が廃止されて以来,日本でも珍しい平面スイッチバックが残るのみとなりました.
列車は遠軽を出ると進行方向が反対になります.4号車は先頭車両となりました.
キハ183系8550番台は特急北斗用に改造され,最高速度が130キロの車両でしたが,今ではその性能も無用の長物と化してます.
現在の特急オホーツクの最高速度は110キロとなっております.
網走に到着です.札幌から乗りとおした客はほとんどおりませんでした.
札幌から網走を直通する列車は,現在では一日2往復のオホーツクを残すのみとなっております.かつては夜行列車も走っておりました.
網走はかの有名な網走監獄のある街です.
この縦書きの看板は,出所した元受刑者がもう二度と帰ってこないように,という願いが込められているそうです.
せっかくなので網走監獄へと向かいます.
タイミングが悪く直行するバスがなかったので,女満別空港行のバスに乗り込み,途中のバス停から歩きます.
博物館網走監獄は網走市郊外の山の上にあります.網走監獄自体は網走の街の中にあります.監獄の建物を新しく作り変えるときに,古くなった建物を残そうということで,山の中に移築したそうです.
監獄ランチです.なかなかに質素ですね(笑)
腹ごしらえを済まし,博物館へと入館します.
公式サイトからインターネット割引券が入手できます.これを利用し10%の割引を受けました.
立っているのはもちろん人形です.
入浴の風景.刺青の背中に恐怖を感じます.
枕が一本の木でできていて,看守はこれをたたいて受刑者を起こしていたそうです.
食事の風景.
現在の刑務所のモデルです.昔は極悪犯の象徴であったこの刑務所も,最近では軽犯罪者が中心だとのこと.
廊下の真ん中に通るパイプは暖房.極寒の地網走で生き抜く工夫です.
写真以外にも興味深い展示物が多く,2時間ほど見物に時間を要してしまいました.
博物館網走監獄を出て,天都山を目指して歩いて登ります.
クマ出没の看板.恐怖を感じます.
無事山を登りきり山頂へ到着です.
天気が良ければ眼下に網走の市街地,奥には知床半島を望むことのできる景勝地のはずでしたが,残念ながら何も見えませんでした...
ちなみに天都山山頂付近にはオホーツク流氷館という観光施設がありました.次来る機会があれば寄ってみたい次第です.
山頂付近からバスに乗り,網走駅へと帰ってきました.
釧路行きの普通列車に乗り込みます.
田舎でありがちなキハ40の単行だと思いきや...
キハ54との混結でした.このあたりでは珍しくないのでしょう.キハ54は自動変速ですが,キハ40と連結すべく手動変速にも対応しているとか.
連結部です.キハ40とステンレス車両との連結姿は斬新です.
キハ54の運転台
キハ54の車内.簡易クロスシートが並んでいます.確か0系新幹線の廃車発生品だったはず.
お隣の桂台から大量に下校する高校生が乗り込み,車内は大賑わい.
列車はオホーツク海沿いを走ります.
原生花園駅で下車.一年のうち半分しか営業していない臨時駅です.
もちろん無人駅です.
この辺りは小清水原生花園であります.
海の向こうには知床半島の山々を望むことができます.
時間もあまりないので,反対列車で網走方面へ折り返します.
一駅目の北浜で下車.
私が昔から行ってみたかった駅の一つでもあります.
残念ながら天気はどんより.
駅舎内には喫茶店がありますが,あいにくこの日は休業日.仕方ないので最寄りのセイコーマートで食料を買い込みます.
駅には展望台も設置されております.冬には流氷がやってくるとのこと.
駅舎内は名刺やきっぷで埋め尽くされております.
なんと駅舎内にはWi-Fiが設置されておりました.観光客への配慮でしょうか.
だんだん日が暮れてきました.何もすることなく時間が流れていきました.
19時10分発の列車がやってきました.私の乗る列車ではないので見送ります.
朝夕はそれなりの本数がありますが,日中は少なめです.駅の目の前に国道があり,釧網本線と平行してバスが走っているそうです.
私が2時間半列車を待っている間にも,北浜駅を訪れる観光客はちらほらいましたが,みなさん車での訪問でした.
待つこと2時間半,やっと網走行きの列車がやってきました.
終着網走へ到着.駅近くの踏切から,構内を眺めます.
遮断機のない踏切.都会ではあまり見慣れないものです.
この日は民宿ランプさんに宿泊.素泊まりで2500円でした.
宿の方も優しい方でした.また網走を訪れた際には是非宿泊したいと思います.
季節柄ライダーの方々もたくさんおられました.
つづく