廃止まであとわずか 「スーパービュー踊り子」乗車記
1990年に運転を開始した特急「スーパービュー踊り子」およびJR東日本251系.
伊豆への旅をより楽しめるようにと作られたこの列車は,長年にわたって伊豆観光の第一線で活躍してきました.しかし,2020年3月14日のダイヤ改正で,使用車両の老朽化などから特急「スーパービュー踊り子」の運転取り止めが発表されています.
後継列車の特急「サフィール踊り子」に引き継ぐ形で特急「スーパービュー踊り子」という列車名は消滅します.また10両固定編成,ダブルデッカー車にハイデッカー車,サロン,こども室といった特徴を持つ251系は,転用されずこのまま廃車になるのではないかと噂されております.
(この記事の続きです)
12月末の平日,ここはJR東日本新宿駅の5番線ホームです.小田原から「おはようライナー新宿26号」としてやってきた列車は,車内整備を済まし,折り返し特急「スーパービュー踊り子3号」として使用されます.
他のホームから少々離れた位置にあるこの5,6番線ホームは,主に「成田エクスプレス」をはじめとした特急列車の発着ホームとして使用されています.
伊豆方面の先頭車両が1号車となっています.1,2号車はグリーン車であり,どちらも2階建て車両であります.1号車は2階がグリーン車で1階がサロン,2号車は2階がグリーン車で1階がグリーン個室となっています.
写真を見てもわかる通り,外観がボロボロになっていますね…
潮風をあびる厳しい環境のもと走り続けてきたのだと感じます.
1号車1階のサロンです.1,2号車はグリーン車の乗客しか立ち入ることができないため,このサロンもグリーン券を持った乗客のみが利用することができます.
他の列車に見られない,この列車特有の設備であります.
3~9号車は普通車でありハイデッカー車となっています.天井につながる大きな窓が特徴です.
「スーパービュー踊り子」として運用される際には,乗車口は2,3,5,7,10号車のみとなっています.各乗車口にはビューアテンダントの方が立っており,特急券のチェックが行われます.
5,6番線ホームから発車する特急列車の編成案内です.今年3月で「スーパービュー踊り子」は廃止になります.「サフィール踊り子」は基本的に東京発着ですが,特定の土休日に運転される臨時列車が新宿始発となるそうです.
新宿から伊豆方面の列車ももっとあってもよさそうな気もしますが,線路容量の都合でしょうか…
本当は始発駅の新宿から乗って,終点の伊豆急下田まで乗り通したいところですが,貧乏大学生の懐事情もあって,この列車の6分前に発車する湘南新宿ラインに乗って横浜まで先回りします.
新宿始発の「スーパービュー踊り子」は,横浜駅では東海道線のホームである6番線からの発車です.てっきり湘南新宿ラインと同じく横須賀線ホームから発車すると思い込み,危うく乗り遅れるところでした.(6番線に辿り着いたことには発車メロディが鳴っておりました(汗))
横浜駅の東神奈川側に,横須賀線から東海道線の線路に転線する渡り線があるので,そこから東海道線に移ったのでしょう.何がともあれ間に合ったのでよかったです.
横浜から「スーパービュー踊り子3号」に乗車します.乗り込んだ3号車は海側のAB列はほとんど埋まっており,山側のCD列に空席があるといった感じでした.他の号車も同じような乗り具合でした.
251系は2002年のリニューアルで,外観および車内設備がかなり変わりました.普通車は奇数号車がオーシャンブルー,偶数号車がハイビスカスピンクの座席となりました.
リニューアル前,一次車の普通車の座席はリクライニング機能なし,二次車の座席は座面スライド機構のみだったそうです.
転換クロスシートだった185系といい,リクライニングしない251系といい,昔の伊豆特急は散々でしたね…乗車時間が短い,というのもあるかもしれませんが.
3~9号車はハイデッカー車であるので,このようにデッキに段差が設けられています.ただし,9号車には多目的室がある都合で,デッキではなく客室に段差が設けられています.
なんと,5号車の東京寄りには売店があります.JRの定期特急列車で車内に売店があるのは,「スーパービュー踊り子」くらいでしょうか.もちろん車内販売も行われています.
車内販売のワゴンが来るのを待つのもいいですが,売店があるというのも便利ですね.
横浜駅で乗り継ぎ時間があまりなかったので売店でパンとコーヒーを購入しました.駅の売店よりも気持ち高めの値段設定,といった感じです.
列車は横浜を出ると,次は熱海に停まります.1時間弱ノンストップでの運転です.
茅ヶ崎駅には215系が止まっていました.朝のライナー運用後に回送されてきたのでしょうか.
相模川を渡り平塚市に入ります.この日は天気も良く,富士山を眺めることができました.
平塚を過ぎたあたりから東海道貨物線を走る貨物列車と並走します.「スーパービュー踊り子3号」の乗る前に,小田原始発の「おはようライナー新宿26号」に乗ってきたのですが,その際はこの貨物列車の奥の線路である,東海道貨物線の上り線を走行しました.
二宮駅を通過します.この駅はもともと貨物の取り扱いがありました.そのため,東海道線と貨物線の間に若干のスペースがあります.
先行列車の影響でしょうか,国府津駅手前でかなり減速しました.その際に並走していた貨物列車に置いていかれました.
国府津駅を通過すると列車は再びスピードを上げました.小田原駅を通過します.定期列車で小田原を通過するのは「スーパービュー踊り子」と「サンライズ瀬戸・出雲」のみです.
横浜~伊東はB特急料金の区間ですが特例として「スーパービュー踊り子」にはより高額なA特急料金が適用されます.
ちなみに「サフィール踊り子」にもA特急料金が適用されることが発表されています.
熱海駅で海側の座席に座っていた方々も降りていきました.熱海からは伊東線に入ります.線形があまり良くないのと,単線というのもあり列車はゆっくり走ります.途中の宇佐美駅では「スーパービュー踊り子」同士のすれ違いがありました.
横浜から1時間17分,伊東駅にて下車します.列車はここから伊豆急行線に入り,終点伊豆急下田まで南下していきます.
一応JRの駅ですが,やってくる普通列車は伊豆急行の車両ばかりです.
この駅でもかなりの方々が下車していきました.伊東駅は伊東温泉最寄り駅であります.駅では駅弁も販売されています.
乗務員交代も済まし,列車は伊豆急下田へと向けて発車していきました.次の停車駅は伊豆高原です.
ラストランまであと2か月となった「スーパービュー踊り子」.皆様も機会があればぜひ乗ってみてはいかがでしょうか.
最後までお読みいただきありがとうございました.